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出版社:Southern Music Co.
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作曲者:Francis McBeth/フランシス・マクベス
グレード:4
編成:吹奏楽
演奏時間:8分30秒
解説:マクベスが、1992年にダラス・ウィンド・シンフォニーのキム・キャンベルから委嘱を受けて、同バンドの創立者であり、指揮者であったハワード・ダンの追憶のために作曲されました。
ハワード・ダンは1938年、テキサス州に生まれ、サザン・メソジスト大学と北テキサス州立大学で学んだあと、テキサス州リチャードソン高校の先生となり、1961年から70年まで、ダラスのハイランド高校の音楽主任としてバンドやオーケストラ、それに合唱の指揮にあたり、優秀な成績をあげました。その後1970年からは、20年にわたって、サザン・メソジスト大学の教授として同大学ウィンド・シンフォニーの指揮にあたり、同時に指揮法や音楽史も教えました。
1985年、音楽の専門家を集めて、アメリカではじめての市民組織によるプロフェッショナル・ウインド・バンドである「ダラス・ウィンド・シンフォニー」を組織し、1987年「ザ・ブラス・アンド・ザ・バンド」という、金管のソロやアンサンブルとバンドの曲集のCDを発売して全米に知られるようになり、さらに2枚のCDもリリースしました。そのさなかの1991年6月2日、ダンは急に亡くなってしまいました。それによってこの曲が生まれたのです。
この曲のタイトル「このぶどうからのワイン」はエドナ・セント・ヴィセント・ミレー(1892~1950)の詩とソネット(詩の一種)のコレクションからとられたものです。ミレーはアメリカの女流詩人で、その詩「竪琴織り」で1923年ピュリッツァ賞を受賞しました。
曲はイ短調の悲痛な響きの和音で、ティンパニーとゴングを伴って開始され、10小節の序奏をつくり、11小節めからテューバが歌いはじめ、テュッティのクライマックスをつくり、21小節で第1部を終わり、ティンパニーの響きのなかに第2部に入ります。
第2部ではホルン、クラリネット、フルートが静かに歌い、ティンパニーとチャイムの響きのなかから低音のメロディがきこえ、木管と打楽器が教会の鐘の響きを模倣し、低音のメロディは激しさを加えます。再びクラリネットやオーボーの静かなメロディに戻りますが、低音の追憶のメロディも高まり、クライマックスをつくります。それが静まると「アーメン」という祈りの言葉(バンドのメンバーが歌う)がきかれ、低音楽器が祈りの歌を高め、チャイムや打楽器の高鳴りのなかで、死者を讃美するハ長調の和音で輝かしく終わります。
マクベスはかつて「カディッシュ」(1976年、作曲家クリフトン・ウィリアムズの追憶のために作曲)や前記の「追憶」を書いていていずれも好評でしたが、この曲もそうした曲の1つとして、むしろマクベスの他の速いテンポの曲よりも、彼のもち味のよい面が出た曲として歓迎されるでしょう。
この曲は、1994年5月23日、ダラス・ウィンド・シンフォニーの演奏、作曲者自身の指揮で初演されました。
(秋山紀夫)